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東京地方裁判所 平成4年(特わ)2426号 判決 1993年5月13日

本籍

東京都三鷹市中原一丁目一二番地

住居

同都同市中原一丁目一二番一〇号

遊技場経営

林成忠

昭和二四年一月五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

検察官 渡邉清 出席

弁護人 畑口紘、田中晋 出席

主文

被告人を懲役八月及び罰金一五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は、東京都新宿区新宿三丁目六番一四号において、「パチンコ冨士」等の名称で遊技場を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成元年分の実際総所得金額が七七一六万四九二七円(別紙1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成二年三月一五日、東京都新宿区三栄町二四番地の所轄四谷税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が一五三五万四二〇〇円で、これに対する所得税額が四〇六万五二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成五年押第二七六号の1)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額三二一二万九九〇〇円と右申告税額との差額二八〇六万四七〇〇円(別紙2の脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成二年分の実際総所得金額が一億〇三二六万九九二〇円(別紙3の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成三年三月一五日、前記四谷税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が一一七〇万二七七五円で、これに対する所得税額が二〇六万三一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(前同号の2)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得額四五三二万七六〇〇円と右申告税額との差額四三二六万四五〇〇円(別紙4の脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠)

判示全部の事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(一五通)

一  渡辺弥平、黒川伸和、林信子、関英子、関春義の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の売上金額調査書、仕入金額調査書、福利厚生費調査書、専従者給与調査書、事業専従者控除調査書、事業主報酬調査書、みなし法人所得調査書、不動産所得調査書、収入金額調査書、利子収入調査書、配当収入調査書、給与収入調査書、給与所得控除額調査書、収入調査書、所得控除調査書

一  検察事務官江並信爾作成の捜査報告書(二通。「売上金額について」、「損害保険料控除」とそれぞれ題するもの)

一  検察事務官関寿作成の捜査報告書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の器械除却損調査書

一  検察事務官江並信爾作成の捜査報告書(「仕入金額について」、「収入(雑所得)の金額について」とそれぞれ題するもの)

一  押収してある所得税確定申告書一袋(平成五年押第二七六号の1)、所得税青色申告決算書一袋(同号の3)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の器機売却損調査書、譲渡収入調査書、譲渡原価調査書、一時収入調査書、既払保険料調査書、一時所得の特別控除額調査書、一時所得の二分の一の金額調査書

一  押収してある所得税確定申告書一袋(前同号の2)、所得税青色申告決算書一袋(同号の4)

(適用法令)

罰条

判示第一、第二の各行為について

所得税法二三八条一項、二項(懲役と罰金を併科)

併合罪加重

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項

労役場留置

刑法一八条

懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 懲役一〇月及び罰金二五〇〇万円)

(裁判官 松浦繁)

別紙1

修正損益計算書

<省略>

別紙2

修正損益計算書

<省略>

脱税額計算書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

<省略>

修正損益計算書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

<省略>

別紙4

脱税額計算書

<省略>

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